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FLCスタッフエッセイ

2014.09.07 ライフサイクル
女性のライフサイクルと仲間

西 順子

 8月最後の日曜日、30年ぶりに大学の友達と再会を果たす。場所は京阪神と中国・四国地方に住む友達との中間地点、神戸三ノ宮。まず開口一番「変わってない~!」「声もしゃべり方も変わってないね~!」と互いに再会を喜び合った。

 ランチは友達お勧めのイタリアン・レストラン。ホテルの17階にあるレストランの窓からは神戸の山が見えてロケーションも最高。見た目も綺麗で美味しい食事を頂きながら、思い出話から近況まで話も弾む。思い出話には、私自身が覚えてなかったり、忘れていたりするエピソード、しかも面白いエピソードに思わず赤面。大笑いしながらも、自分は覚えてなくとも、友達の記憶のなかで私を覚えてくれていることに、ありがたい気持ちになる。自分が覚えている当時の記憶に、友達から聞くエピソードが加わり、当時の自分の姿が多面的になった。人生のある時期を共に過ごしてきた仲間、思い出話を語れる仲間がいることをしみじみと有り難く感じる。

 話は、大学卒業後から就職、結婚、子育て、家族の生老病死・・などを経て、今取り組んでいる仕事や家族との関わり、そして更年期を迎えての体調のことや目の前に迫っている親の介護にも話が及ぶ。女性の人生30年のライフサイクルを、皆それぞれが生き抜いてきたんだなと、しみじみと愛おしい気持ちになった。そして30年を経ても、その人らしさは変わらず、その人らしく仕事をしたり、活動をしたり、子育てをしたりしていて、マトリョーシカ人形のように、当時の姿と今の姿が重なった。時空を超えて「今、ここ」に一緒にいることが不思議で、とても懐かしくも温かさに満たされた。
 
 大学時代は親許を離れて下宿し自分の人生を歩み出した過渡期、そして今、中年以降の人生をどう生きるかと歩み出す過渡期と、女性のライフサイクルの思春期後期と更年期は共通点が多いことに気づく。過渡期に迷いや悩みはつきものだが、過去・現在・未来と縦軸だったり、家族や人との関わりとの横軸だったりと、縦横に行きつ戻りつしながら時空を超えて話をしていると、普遍的なつながりを感じて、心が楽に自由になれる。それぞれの人生は違っても、女性として、ライフサイクルの段階を共に歩む仲間がいることは心強い。

 楽しいひと時の後、余韻を味わうように女性のライフサイクルについて思い巡らせた。年報創刊号「女性のライフサイクルについての試論」(1991,村本)を読み返す。結論として書かれていた「・・結局のところ、重要なのは、各々が自分の人生を全体との関係のなかでとらえていき、しかも、個人を超えた力や他者とつながりながら、自分の人生を生きていくことである」という言葉に納得。「生かされている」という謙虚な気持ちを忘れずに、他者とのつながりを大切にしながら、自分らしく歩んでいければと思う。

 女性ライフサイクル研究所は伸び伸びと自由に自分の人生を生き、自分とは違った他者をも受け入れ、社会全体がもっといきいきと活気づくことを願って設立された。これからも女性のライフサイクルに寄り添いながら、生命を信頼し、生命の声を大切にする場所であり続けたいと願う。

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