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FLCスタッフエッセイ

2014.08.09 DV
DV被害者支援と支援者支援

西 順子

 来月、第4回目となる「DV被害者のトラウマと回復~女性と子どもの視点から援助を考える」講座(以下、DV講座)を開催する。

 これまで女性ライフサイクル研究所を中心としながら女性センターで数年、総合病院で数年以上、「カウンセリング」という枠組みでDV被害者の支援に携わってきたが、現在進行形のDVの場合、多層的に様々な支援や連携が必要であると実感してきた。特に、DV家庭に子どもがいる場合、子育て支援は欠かせない。レジリエンス(回復力)を強めるためには何が役立つのか、何が必要か、どんな支援が求められるか・・等、当事者の方々からたくさんのことを学ばせてもらってきた。

 DVに晒された母子を支えるためには、女性への支援、子どもへの支援、母子への支援と、福祉、司法、医療、教育/保育、心理などの支援から生活コミュニテイでの支援(友人、知人、地域の方々)まで必要であり、危機介入から中・長期的支援まで長期的スパンにたって、切れ目なく支援がつながるよう支援システムを整えていく必要がある。
 そのためには、安全なコミュ二ティへの「橋渡し」となるような支援が必要であると、このDV講座を企画した。支援者同士が互いに学びあい、つながれるよう、ネットワーク作りも視野に入れて、今年で開催して三年目を迎えた。これまで女性相談員、母子支援員、助産師、児童相談所ケースワーカー、子育て支援センター相談員、心理カウンセラー、教師・・など、DV家庭の母子と関わる様々な立場の皆さまにご参加いただいてきたが、問題意識や経験を共有しながら共に学びあえる「場」となっていることは本当に有り難いことである。

 そして本講座終了後も、受講くださった方々が継続して学びあい、支えあい、エンパワメントできる場を創りたいと、当初より「フォローアップ・グループ」もセットで企画し、現在まで年二回のペースで開催している。こちらのグループは、活動の趣旨からNPO活動の「支援者支援」として位置づけているが、参加くださった皆様に好評であるピア・グループスーパービジョンと、セルフケアのためのアートセラピーも定例となってきている。緩やかに、細くとも長く続けていければいいな・・と願っている。

 この支援者支援グループの発想は、これまで講師として関わらせて頂いたり、グループに参加させて頂く機会があったDV被害者支援グループの活動に触れてのことである。この出会いも、長期に渡って村本が講師を務めてきた婦人相談員の方々との温かいネットワークがあってのこと。熊本、長崎など九州で活動している支援者の皆さまのコミュニティに参加させて頂き、「温かくサポーティブでエンパワメントの場、いいなぁ~。こんな場が大阪にもあればなぁ~」と思い、「それなら自分に必要な場を自分たちで作れれば・・」というのが原点である。なので、主催者としてこの「場」を提供してはいるけれど、私も支援される一人として、仲間とのつながりを感じ、エンパワーされている。このグループは、私にとっては一つの居場所でもある。

 こんな講座ができればいいな~、こんなグループができればいいな~と思っても、一人ではできない。趣旨に賛同してくれて、思いや志しを共有し、共に歩んでいける仲間の存在、サポートし応援してくれる仲間の存在があってのことである。また、講座に参加くださった皆さま、継続してグループに参加してくださる支援者の仲間があってのことである。

 コミュニティのなかで被害者へのサポートが網の目のように張り巡らされることを願いながら、DV被害者への支援、支援者同士の支援と、私たちにできることを一歩ずつ積み重ねていければと思う。
 今年の講座、ぜひ皆さまのご参加をお待ちしています。

※関連ページ:
1. 今年度の講座「第4回DV被害者のトラウマと回復☆女性・子どもの視点から援助を考える☆」のご案内
2. DV講座、フォローアップグループを共に創ってきた桑田道子さんが代表を務めるVi-Project(子どものための面会・交流サポートプロジェクト)のホームページのご紹介
3. 参加者の皆さまから頂いた感想のご紹介

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