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2018.07.08 コミュニティ
フィンランド便り②-フィンランドの暮らし

                                朴 希沙


現在、私はフィンランドの中部に位置する大学の街ユヴァスキュラに来ています。6月から3ヶ月間、ここで姉・姪・甥とひと夏を過ごします。フィンランドってどんな国?実際に来てみると日本と違うところもたくさんあるようです。3回連続のフィンランドからの便り。2回目は、フィンランドの田舎の暮らしをご紹介します。

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6月後半の週末、私たち家族はユヴァスキュラから車で1時間ほどの小さな町、カンガスニエミに行きました。
ここには、姉の知り合いのペッカさん一家が暮らしています。ペッカさんは、私たちが暮らすユヴァスキュラが「都会過ぎるから」とカンガスニエミに住んでいます。でもユヴァスキュラにも森や湖があるし、歩いているとちょくちょくうさぎもみかけるので、私たちは少し不思議に思っていました。

ユヴァスキュラからカンガスニエミまでの道は、ずっと森と湖が続いています。
湖と森が織りなすフィンランドの夏の景色は爽やかでとても綺麗です。
フィンランドには有料道路はないそうで、高速道路にも乗りましたが料金をとられることはありませんでした。「パーキングエリア」と言われた一角にも小さなパン屋さんのようなものがひとつあるだけで、日本の高速道路とはかなり異なります。

そしておうちに到着してみて...びっくり!
2018年、フィンランドは世界幸福度ランキングで1位をとっていますが、今回その暮らしを少し体験させてもらい、その理由を垣間見ることができました。実際、素晴らしい生活が広がっていて、私たち家族はみな驚いたのです。今回は、ペッカさんご家族にご了承をいただき、その暮らしをご紹介します。

ペッカさん家族が暮らすお家は、とても素敵なおうちでした。
広々としていて、どこもきちんと整っています。派手だとか、ゴージャスだとかそういうことではなく、おうち全体から飾り気のない、静かな愛情が伝わってくるのです。

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このおうちはペッカさん一家が職人さんたちとで相談しながら作ったそうです。
家族で家のタイルを張ったり、サウナも作ったりしたそうで、家のあちこちにかわいい模様が入れてあります。
フィンランドではこのように家を建てる際自分たちで作る人たちも多いそうです。職人も色々な種類の人がいるらしく、例えば窓枠専門で作る職人、台所を専門で作る職人等がいるとのこと。

この日私は娘さんのお部屋に泊めてもらいました。ずいぶん居心地のよいお部屋で、私たち家族は「このお部屋からは、娘さんが大切にされていることが伝わってくる」とすっかり感動してしまいました。
例えば、娘さんのお部屋には大きなドールハウスがあります。これは、ペッカさんの親戚の一人がコツコツと手作りしてプレゼントしてくれたものだそうです。凝った作りで、中にはサウナもあります。

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その日は夏至だったので、お昼ご飯はみんなでソーセージを焼いて食べました。フィンランドでは夏至の日はソーセージを焼いて食べるそうです。

また午後にはペッカさん家族が「パイを焼きましょう」と言ってくれました。
ペッカさん家族は夏の間、「夏の家」という山小屋のようなところに行くそうです。
そこにはペッカさんの親戚の森があって、自然のコケモモやブルーベリーが一面になっている場所があるんだとか。
「ブルーベリーがたくさんあるからね」と、大きなブルーベリーパイを一緒に焼きました。

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ブルーベリーパイを焼いている間、「夜はサウナに入りましょう」と言ってもらい、一緒に準備を手伝わせてもらいました。
サウナは薪で温めます。「夏の家」からは薪もたくさんとれるそうで、お家の薪小屋にたくさん積んでありました。やり方を教えてもらったので、すぐに火をつけることができました。
お家の周りの庭や畑にはりんごの木やお花が咲き、いちごもなっているので、姪は喜んでいちごを摘んで食べていました。

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おうちの中にいると本当に静かで、鳥のなき声と風の音しか聞こえません。

夜は、スパゲティをみんなで作って食べてから、サウナに入れてもらいました。

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薪をくべて温めた石に水をかけ、その水蒸気でサウナ全体を温めます。体が熱くなったら外に出て体を冷やし、寒くなったらまたサウナに入るということを繰り返します。そうすると体が芯から温まって本当に気持ちがよいのです。私がペッカさん家族に「とても贅沢ですね」と言うと、「ああ、そうですか?贅沢、といわれたらそうなのかもしれませんね」とおっしゃっていました。とても静かで、落ち着いたご家族でした。

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夜娘さんのベッドに横になると、かわいい模様で飾られた天窓が見えました。

次の日の朝はコーヒーとヨーグルト、シリアルを食べました。
たっぷりのヨーグルトにおうちで作ったコケモモやいちごのソース、それから蜂蜜をかけます。

ペッカさんご夫婦は娘さんのことが大好きなようで、時々娘さんのことを話します。私たちも、どんな風に娘さんを育てたのか聞きました。
「いけないことはいけないといい、よくできたら褒めてあげる。でも叱るときも褒めるときもいつもひざの上に乗せて、言い聞かせる。よく聞いていましたよ」と静かにおっしゃっていました。

帰る前におうちの周りのお散歩もしましたが、どこもお庭やお花をきれいにしていて、野菜も作っています。
お隣は自宅で床屋さんをしているおうちでしたが、ペッカさんのおうちと同じくらい大きくて、子ども用のジャングルジムや滑り台、ブランコもありました。子どもがたくさんいるおうちだそうです。

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フィンランドの田舎の方は、家が広々していて、とても美しい景色が広がっていました。私はリンドグレーンという作家が好きで、特に『やかまし村の子どもたち』という作品を何度も読んでそこでの生活に憧れていたのですが、まるでその本に出てくるような場所が実際にあったので驚いてしまいました。

夏は仕事が終わったら毎日散歩、冬はスキーを楽しんでから、おうちの暖炉であたたまるそうです。
フィンランドの豊かさは華美な贅沢さやショッピング、消費の楽しみにあるのではなく、このような日常に静かな幸福が満ちているところにあると、今回実感しました。
ペッカさんご家族が日本にいらした際には、素敵な場所にぜひご案内したいと考えています。

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